釜山市民公園
数年前までは米軍基地であったこの公園はとにかく広い。公園内で四方を見渡して先ず目に入るのは公園そのもので、その上空に広がるのは「空」である。
どこを見渡しても高層アパートしか見えない日常を送る身としてはそれだけでも別世界にいる感覚である。
東には雨雲、西には夕陽を浴びたウロコ雲が見える。公園内には丈の高い樹木が立ち並んでいる。その付近のベンチに腰掛け、空を仰ぐと、樹木の枝葉が茜色の空に影絵のように浮かび上がる様に目を奪われる。周囲に立ち並ぶ高層アパートも、この公園の中から見ると好ましく見える。この圧倒的な緑の空間が都会の真ん中に存在するという贅沢を知らしめてくれる役割を担っているからである。
帰り際、三男があらぬ方向に駆け出していった。ふり返ることなく走り続け、はるか遠方の人ごみに紛れそうになる。慌てた妻が長女を走らせる。彼は彼女に取れ戻された後、妻に大目玉を喰らっていたが、彼の走り出したくなる気持ちは痛いほどよくわかった。
どこを見渡しても高層アパートしか見えない日常を送る身としてはそれだけでも別世界にいる感覚である。
東には雨雲、西には夕陽を浴びたウロコ雲が見える。公園内には丈の高い樹木が立ち並んでいる。その付近のベンチに腰掛け、空を仰ぐと、樹木の枝葉が茜色の空に影絵のように浮かび上がる様に目を奪われる。周囲に立ち並ぶ高層アパートも、この公園の中から見ると好ましく見える。この圧倒的な緑の空間が都会の真ん中に存在するという贅沢を知らしめてくれる役割を担っているからである。
帰り際、三男があらぬ方向に駆け出していった。ふり返ることなく走り続け、はるか遠方の人ごみに紛れそうになる。慌てた妻が長女を走らせる。彼は彼女に取れ戻された後、妻に大目玉を喰らっていたが、彼の走り出したくなる気持ちは痛いほどよくわかった。