鮑粥
妻がアワビを買ってきた。三個で一万ウォンらしい。
そのアワビを細かく刻みお粥に入れ、十分に出汁が出たところで塩を振る。
美味しさを左右する重要な行程であるが、妻は当たり前のように加減を合わせてくる。
それはさながらヨークとコールの頭めがけて正確に飛んでくるベッカムのクロスのようである。
熱々のお粥の表面を匙で掬うと、アワビの細切れが佇んでいる。
口に含むと微量の塩がアワビの食感を更に引き立てていることが実感できる。
「おかずが無くて御免ね」という妻に仏頂面を作って
「全然、大丈夫」と返すのみである。
「美味しかった」とかいうとわざとらしく聞こえるからだ。
そのアワビを細かく刻みお粥に入れ、十分に出汁が出たところで塩を振る。
美味しさを左右する重要な行程であるが、妻は当たり前のように加減を合わせてくる。
それはさながらヨークとコールの頭めがけて正確に飛んでくるベッカムのクロスのようである。
熱々のお粥の表面を匙で掬うと、アワビの細切れが佇んでいる。
口に含むと微量の塩がアワビの食感を更に引き立てていることが実感できる。
「おかずが無くて御免ね」という妻に仏頂面を作って
「全然、大丈夫」と返すのみである。
「美味しかった」とかいうとわざとらしく聞こえるからだ。